睡眠時無呼吸症

千葉県千葉市の加藤歯科・歯科医・歯医者では審美治療メタルフリー治療矯正治療歯周病治療インプラントの治療を行っております。








2018.4

桜 皆さんお元気ですか?今年は冬が寒かったせいなのか、桜がキレイだったような気がします。
今年は開業して29年目になります。私は今年60歳を迎えるんで、きれいな「引退」を夢見ていました・・・・が、いろいろと想定外の出来事があり、夢に見たようなワケにはいきませんでした。 どうしても引退したい!なら自給自足をしつつ、山奥で完全に隠居生活するなら金銭的にそれも可能なのかもしれませんが、千葉の山奥なら近くにゴルフ場があったりして・・・。(笑)
お金をかけない生活をしている身にゴルフの誘惑は非常に悩ましいことでしょう。 それならばきれいサッパリ、引退を考えることはやめて、手が震えるようになっても歯医者を続けましょう。 この年齢になって、歯医者生活で最高に面白い顎顔面矯正と非抜歯矯正というネタにも出会ってしまいました。 まるで神様に「引退禁止のワナ」を仕掛けられたみたいです。(笑)
今回は顎顔面矯正の恩恵を受けられなかった我々世代が直面している、非常に深刻な社会問題を引き起こす睡眠時無呼吸症の話です。
ひとこと114 病の起源は・・・。

NHK 私はスポーツ中継以外、テレビはほとんど見ませんが、国民の義務でNHKの受信料払って いるんで、テレビを見るならNHKを見ています。(笑)
たしかにNHKはスポンサーがないので、各方面からの圧力も無く、時々いい番組をやっています。見逃した過去の番組で見たいモノはYouTubeで捜しますが、無いときは仕方なくNHKオンデマンドでさらにお金を払って見ています。実は今回見たくて捜したのは「病の起源1睡眠時無呼吸症」です。2008年に放映されたんですが、当時は気がつきませんでした。近頃ネタにしている顎顔面矯正のセミナーで紹介されました。ネットで検索してみると中古DVDとYouTubeにはいくつかありましたが、私が見たい2008年の「1」はありませんでした。試しにYouTubeで「脳卒中」を見ました。非常に面白い!このシリーズなら有料でも良いかなと思い、オンデマンドしました。50分ほどの番組ですが、けっこう衝撃的な内容です。是非ご覧ください。もしかして、これを見たことで命拾いする人がいるかもしれません。1本だけ見るなら216円です。これを見てしまうと、少なくとも絶対に自分の子供や孫には小児期の上顎拡大治療をやらせようと思うでしょう。(笑)

病の起源 私は軽度の睡眠時無呼吸症(SleepApneaSyndrome以下SAS)です。悲しいかな寝ている間の出来事なんで、自覚症状がありません。自覚症状の無い病気はどれも治療が非常に厄介です。なんと言っても自分が病気だと思ってないですから・・・。それでも私のSASは昔自分でやった中途半端な矯正治療のおかげで、犬歯の歯根が動いて少し鼻呼吸ができるようになり、症状が軽くなりました。しかし、深酒すると舌などの筋肉が緩むんでしょう、必ずイビキをかき、呼吸が止まるそうです。その昔、SASの知識が無かった頃は、SASの引き起こす「浅い睡眠」を利用していました。魚釣りに行く日は朝の3時頃に起きるんです。前日に多少深酒をするとちゃんと3時に起きることができました。実際は呼吸不全で身体は疲 れているんですけど、少なくとも起きることはできるんです。その状態で高速を3時間走って魚釣りに行っていました。恐ろしい!無知のなせるワザです。(笑) 現在の私は深酒しなければ大丈夫になったんですが、世の中には普通にしていても重度のSASの方が大勢います。「病の起源1」の映像にに出てくる男性は47歳会社員で、デスクワーク中に居眠りをしてしまうのだそうです。周りの人にさすがに異常だと指摘され、虎ノ門病院の睡眠外来を訪れました。精密検査では心電図、脳波計などのコードで身体中ぐるぐる巻きの状態で眠るんです。どう考えてもその状態では眠れそうもないけど、彼はベッドに横になった瞬間に眠りにつきました。しかし、寝始めてしばらくすると大きなイビキをかき始め、途中で呼吸が止まります。最長2分近く止まることもありました。そういう呼吸停止が5回以下であれば正常。30回以上あると重症です。彼は重症SASと診断されました。7時間の睡眠中に合計で5時間半も呼吸が止まっていることがわかりました。ほとんど呼吸していません。この状態をドラマ風に書けば「夜ベッドに入るとどこからともなく殺人鬼が現れ、彼の首を絞める。彼が完全に死んでしまう直前に手を緩めて息を再開させる。殺人鬼はそれを楽しむように、またそれを繰り返す・・・。」ドラマなら「殺人鬼は彼の奥さんでした!」で終わる?(笑)

息が止まっている間も全身の細胞は生きているわけですから、呼吸と無関係に酸素は消費され、血中の酸素濃度は下がります。酸素の少ない血液なので心臓は大量の血液を送り出す必要に迫られ、鼓動がドンドン早くなります。死ぬ直前で殺人鬼が手を緩め、呼吸が再開し酸素濃度は戻ります。しかし、しばらくするとまた呼吸が停止して、鼓動が早くなります。一晩に何十回と繰り返される殺人ゲームです。右下のグラフが示すように、長い年月続けば心臓に重大なダメージが残ります。心房細動を引き起こす確率は年とともに上がっていきます。心房細動というのは心房が痙攣して正常に血液を送り出すことができない状態です。血液は滞ると固まってしまいます。その凝固したモノが「血栓」です。血栓が運悪く脳に行けば脳梗塞、心臓の冠動脈に入れば心筋梗塞、肺に行けば肺栓塞。ヤバいです。いわゆる「突然死」の中にはSASが潜在している可能性が高いようです。今まで原因がわからなかった私の高血圧の原因もこれの可能性があります。日中は交感神経が刺激されて、血管の収縮が起こり、血圧が上がります。睡眠時は逆に副交感神経優位になるから、血圧は低下するんだそうです。もしもSASであれば、夜間も眠りが浅いから交感神経支配で高血圧が維持される・・・。ヤバイ。

病の起源 チェックを受けたい方は「睡眠外来」を標榜しているお医者さんに行ってみてください。簡易検査、精密検査をして、診断されます。重症の人の呼吸改善治療のために使われるのがCPAP(ContinuousPositiveAirwayPressure)です。鼻の穴にマスクを装着し、連続的に空気を送り込んで気道を押し広げ、のどの塞がりを防ぎます。まあレアな装置なんだろうと思っていたら、意外にも身近に使っている人を発見しました。ゴルフの昼御飯の話題に子供の矯正の話を聞かれたので、一連の話をしていたら、それを聞いていたもうひとりがCPAPを使っていました。どうし てSASを見つけたのか聞いたら、同業者の旅行で彼の友人がイビキを聞きつけ、彼に「睡眠外来」の受診を薦めたのだそうです。ホントに運が良いと思います。命の恩人のようなモノです。(笑)

実は歯科にもSASの治療装置(スリープスプリント)がありますが、今まで全く興味がありませんでした。今回気になって調べてみたら、軽度のSASにはけっこう有効らしいので、早速自分のを作りました。装着レポートは編集後記で書きますので、ご覧ください。日本睡眠歯科学会という歯科的なSASの学会があるんですけど、小、中、高校が同級生というかなり親しい友達がその学会の理事でした。(笑)
今度会ったときに聞いてみようと思います。意外と身 近なネタだったんですね。SASは時々大きな事故の原因となっています。

病の起源 その存在が有名になったのは2003年に山陽新幹線岡山駅付近で起きた事故でしょう。 広島発東京行き「ひかり126号」が所定のホーム停車位置より100m手前で自動列車制御装置が作動して緊急停止。 車掌が運転席に駆けつけると運転士(33歳男性)は居眠りしていました。これをきっかけに、JR、私鉄、トラック業者は事故予防にようやく着手し始めました。しかし、それ以後も事故は続きます。2012年に高速ツアーバスがガードレールに突っ込んだ映像を記憶されている方も多いでしょう。7名死亡、39名がケガをする大事故が起こりました。実は世界に目を向けると、SASが関連した大事故には悲惨なモノがたくさんあります。アメリカのスリーマイルズ島原発事故、チェルノブイリ原発の事故、スペースシャトルの爆発事故(チェック要員が居眠りのために見逃したミスが原因)など多数起きています。アメリカではこうした大事故だけじゃなく、日常の小さなモノまで含めると、睡眠障害にかかる医療費などの諸経費は1990年の1年間で159億ドル(約1兆7500億円)、また睡眠障害による生産性の低下で年間1500億ドル(約16兆円)の損失があると試算されています。日本で日常的に起きる交通事故、特に追突事故には多数SASが絡んでいるんじゃないかと思います。居眠り運転は健常者に比べ7倍も高いという報告もあります。日本でもサラリーマンを対象に睡眠に問題を持っている人たちの遅刻、早退、欠勤、眠気による作業効率低下、交通事故、労働災害についての調査により年間3兆5000億円の損失という試算もあります。悪意も無いのにいつの間にか重大事故の加害者になってしまう可能性が非常に高い、自覚症状のほとんどない病気、それがSASです。ホントに1ヶ月前までSASは「人ごと」でしたが、「病の起源」を見て俄然気になってきました。番組の最後に重度のSASの4歳児が出てきます。小児用のCPAPを装着して眠る女の子です。生後6ヶ月からSASだったそうです。アメリカでは今後の可能性の話として上顎を広げる治療が研究段階にあるそうです。ここでやっと顎顔面矯正の話に繋がります。この映像は2008年に放映されたワケで、今から10年前の話です。現在、アメリカの歯科矯正学会は「SASの予防」に小児の上顎の拡大をすすめています。しかし、欧米人は肥満にならなけ ればSASになりにくいんです。日本人は重症SAS患者の中で肥満じゃない人の割合が3割もいます。それは日本人の顎が小さく、下顎が後方に下がった位置を取る人の割合が多いから です。以前から何度も書いているとおり小児期に上顎を拡大することでSASは予防できます。ホントに「健康保険」でできても良いと思います。上顎を小児期に拡大することができればどれだけの医療費を減らせることでしょう。何度も書きますがSASだけじゃなく発達障害、発育障害、アトピー、喘息、オネショなどが治る可能性があります。大人になってからの高血圧、糖尿病、心疾患(狭心症、心筋梗塞、不整脈、慢性心不全)、脳卒中などを大幅に減らすことができます。医療費を減らすなんてセコイ発想じゃなく、健康な人の割合が増えれば日本国民のパワーが数倍にもなるんじゃないかと思います。ホントに引退の歳になってこんなに面白いネタに出会うことができて最高に幸せです。患者さんの中2女子のアトピー性皮膚炎がどうやら軽減したようです。セミナーで「アトピーが治る」とは聞いていましたが、ちょっと信じがたかったんですよね。しかし、実際に良くなってきてしまうと、ビックリします。すべてのアトピー性皮膚炎ではないかもしれませんが、一人でも治ってくれるとホントにうれしいです。まあ、ウチは皮膚科じゃないんで、これを目的に来院されても困るけどね・・・。(笑)

編集後記
 本文中でスリープスプリントの使用体験を書くと言いましたが、結局、一晩も使う事ができませんでした。というのも、技工所に発注する時間がなかったので、自分で作ってみました。スリープスプリントの理屈は簡単です。上を向いて寝ると下顎が下がるんで、それを防げば良いんです。完成したので寝る前に試しに入れてみたんですけど、入れたら鬱陶しくてしかたなかったんです。で、睡眠中に寝て試すにはアルコールをいっぱい飲んで「病人」にならないといけないのですが、ちょっと自作レベルでは無理っぽいです。もっとスマートな装着感の良いスリープスプリントを技工に出して自費で提供すると14万円程度になってしまいます。この価格で提供して使ってもらえなかったら、非常にもったいかなと思っています。まあ、大金出せば使うだろうけど・・・。(笑)

これからまだ研究しますので、良いモノがあればまた紹介します。
編集後記2
 今回のニュースレターは最初は睡眠時無呼吸症をネタにしようとは思っていませんでした。顎顔面矯正のセミナーで紹介された「病の起源」を見て、衝撃を受け、これをネタにしようと決めました。NHKオンデマンドは一定期間経つと削除されてしまうのか、探しても検索できなくなることがあるようです。「病の起源」シリーズは2019年3月までは残るようですが、その先は消えてしまうらしいので、ホントはいけないんですけどビデオに撮ってあります。見たい方は今のうちは216円払ってNHKで見てください。パソコンがあれば見れます。2008年の他のシリーズは「骨と皮膚の病」「腰痛」「読字障害」「糖尿病」「アレルギー」2014年シリーズが「心臓病」「がん」「脳卒中」「うつ病」です。どれもとっても面白いですが、世の中にあまり知られてなくて、「睡眠時無呼吸症SAS」ほど他の多くの「病の起源」となる疾患はないと思います。SASを無くせばホントに世界の病気の半分ぐらいは消えてなくなるんじゃないかと思っています。還暦まで生かしてもらってホントに有り難いことだと感謝しています。SASの撲滅は私の使命だと思って残りの人生を生きたいと思います。今後もうるさくSASのネタが登場すると思いますが、ボケ老人が記憶喪失になったと思って、面白いフリをしてください。(笑)

編集後記3
 そろそろ糖質制限食が世界的に認められてきました。これと平行して脂質の摂取制限が間違いであることもハッキリしてきました。コレステロールは人類の味方だし、バター、ラードなどの飽和脂肪酸も味方です。ラーメンに白く膜が張るほどの背脂は悪者ではありません。でも、麺は控えた方が良いでしょう。総摂取カロリーが多すぎると炭水化物から取り込まれ、皮下脂肪に変わっていきます。近頃インシュリンのことを「肥満ホルモン」と言っている人もいるようですね。(笑)
おすすめの記事
かとう歯科ニュースレターバックナンバー

まぼろしのひとこと

歯に関するお悩み無料相談

ページの先頭へ



ページトップへ

ニュースレター目次

前のページに戻る