千葉県千葉市の加藤歯科・歯科医・歯医者では審美治療 ・メタルフリー治療・矯正治療 ・歯周病治療・インプラントの治療を行っております。
2016.6
私は19歳まで千葉市に住んでいて、関東平野をごく「普通の地形」と思っていました。しかし、こ こは全く普通ではありません。北は筑波山、西は丹沢、南は鋸山まで山(?)がありません。日本 地図を開いてみればこれほどの平野はないのです。小学校の社会科で平野の勉強はしても、実際に 「平野ってなに?」って考えたことはありませんでした。そんな私が九州の最南端、鹿児島市に行 くことになったわけです。私が鹿児島に行ったころ(38年前)は桜島の活 動が活発で、桜島の噴火と震度1程度の地震がリンクするわかりやすい地震 が時々ありました。そのころ千葉では震度3~4の地震がちょいちょいあ りました。「そろそろ関東大震災がくる!」などとも言われていました。 あちらではほとんど地震に遭うことはなく、11年鹿児島に居て震度4以上 を経験することが無かった私は「九州は地震が無いんだ。」と勝手に思っ
ていました。 冒頭に「今回の熊本地震は私の長年の疑問を解消してくれました。」と 書いた のは、どういうことなのかを言う前に、阿蘇に行ったことのない方 は??でしょうから、簡単に説明すると阿蘇外輪山は大きな火山が大噴火 して潰れ、麓の部分だけ残った地形(カルデラ)です。九州にはいくつも 巨大なカルデラがあります。鹿児島湾北部は姶良カルデラと呼ばれ、その 南端に桜島があります。箱根山もカルデラで直径約12キロ。その内部に 芦ノ湖があります。強羅、仙石原は外輪山の内側です。姶良カルデラに置 き換えると、箱根ロープウェイは桜島の噴火口を覗き込む位置を通っていますから、かなり危険な乗り物なんですね。(笑)
阿蘇外輪山は非常にキレイなリングになっていますが、1カ所だけ欠けています。立野というとこ ろで、そこに国道57号線と豊肥本線と白川という 大きな河川が流れています。学生時代に車で初め てここを通過して、大分県の別府まで車で行きました。九重(久住)山に続く道路をウネウネと上 り、外輪山を登り終わって、城山展望台から今 やって来た方向を振り返ると、左右に外輪山が続き、遠くに中岳が見えます。スケールの大きさ(外輪山は 直径25キロあります)に驚きました。結婚して鹿児島から大分、大分から鹿児島へと何度も往復するうちにいろんな ルートを辿るのですが、熊本から外輪山の中へは立野経由 ですが、57号線を竹田(岡城址が「荒城の月」で有名)へ抜ける ときも、国道212号で小国、黒川温泉方向へ抜けて も、やまなみハイウェイを九重山へ抜けても、つづら折り の道です。南の高森も同じ。なぜ1カ所だけ、立野経由はな だらかなんだろう?というのが長年の疑問でした。白川が ありますから、それによる浸食なんじゃないかと思ってい ましたが、今回の地震で「ここに布田川断層があるから」が正解だと理解しました。しかし、この断層は大分の方へ 繋がっているのですが、そっち側の外輪山は壊れていませ ん。勝手な想像ですが、昔もあちらには大きな被害は無 かったんじゃないかと期待します。家内の両親は大分市にいるので、まあ期待半分ですけど。
阿蘇カルデラは27~9万年前までに4回の火砕流の噴出によってできました。つまり、外輪山 の壊れていないキレイな部分は9万年前の地形が残っているけど、「立野」周辺は断層が動いて地 震が起きたんでしょう。今回のような地震がくり返されて、壊れたと考えるのが妥当でしょう。震度 10(ってあるの?)の地震が数回なのか、震度7が数百年に1回なのかはわかりません。映画 「武士の家計簿」の原作者で歴史学者である磯田道史さんは過去の文献から「1611年に東北で津波 を伴う慶長三陸沖地震が発生。1619年に熊本と大分、1625年に熊本、愛媛、香川、広島で、いずれ も断層のズレによる大地震が頻発。1633年小田原で直下型大地震が起き、関東に被害が広がった」 と書いています。いつからス タートしたかはわかりませんが、9万年間を400年周期で地震がくり返 したなら、225回起きたことになります。(笑)
今回三陸沖が2011年、熊本が 2016年と続き、2020~2025年に東南海地震が起きるのかな?でも、あれは予 想ではプレート型だから、ちょっと違う???
いずれにしろ、活断層が動く地震は震源が浅く、地震の規模がそれほど じゃ無くても、震度7を記録できることがハッキリと証明されたワケです。
活断層が原発の真下を通っている志賀原発(石川県)の廃炉は当然でしょうね。
今回の断層は鹿児島の川内原発、愛媛の伊方原発の下を通っているよう に見えます。
もしも、あの活断層地図を信じるなら、千葉の北東部、茨城南 部に作った方が安全なのかもしれない・・・。(笑)
先日鹿児島で日本歯周病学会がありました。歯周病科の医局を離れて30年、その昔、私が教えた 学生は准教授になりましたが、教授戦に敗れて開業し、もう一人残った女性も結局、准教授になれ
ずに大学を去ることになりました。直接知っている医局員はいなくなりましたが、それでも誰か 知った顔に会えるんで、今後も学会には行くことになるでしょう。今回の主目的は元助教授(その 後、九州歯科大の教授になって、すでに退官して5年)と医局の先輩とゴルフをすることでしたけど・・。(笑)
その元助教授は私に「歯医者はスーパーマンにならんといかんのよ。」という言葉を 残した人で、その言葉を信じ、いろいろな技術を身につけることになりました。「専門医(専門バ カ)」から抜け出すことができた恩人です。ゴルフの前日の夜の宴会から話が始まって、ゴルフのラウンド中、行き帰りの車の中で「歯周病とインプラントの話」を延々としてきました。彼は歯周病が社会的に認知される前の時代から、1990年代の最盛期、さらにはインプラントの最盛期まで歯周 病学会とインプラント学会の重鎮でした。歯周病学の教授にしては珍しく、試験管を振るタイプで はなく臨床中心で、臨床上の問題点を動物実験で確認してきた人です。九州北部地方は昔から歯科医 の密度が高い地域です。その結果、昔から歯科治療のレベルも高く、全国的に有名な人達が日々切 磋琢磨しています。私がわざわざ千葉から矯正の勉強に行く理由もこの辺にあるんです。でも、あの 矯正治療は現地でもレアなタイプです。もともとは神奈川歯科大学の先生がオリジナルなんですけ ど、この辺で見ることは皆無です。まあ、技術的に難しいし、見た目も悪いからねえ・・。(笑)
歯科医の密度が高い理由は、福岡県には3校の歯科大学、歯学部があるからです。古い順に九州歯 科大学(なぜか県立、1914年設立!)、九州大学歯学部(国立)、福岡歯科大学(私立)があります。昭和48年に福岡歯科大学が設立されたときに、井上陽水が受験していれば我々が知る彼の名曲 は存在しなかったことでしょう。(笑)その3つの中でも九歯大は歴史と実績が抜群です。元助教 授が鹿児島大学から教授として着任するまで、その講座は歯内療法を専門にしていました。彼が行っ てから、はじめて歯周病治療を本格的にはじめたわけです。学生教育 も大学病院での診療もです。自 慢じゃないですが、彼が着任し、学生 教育を始めた頃には私はここで開業して、同じレベルの歯周病治療を 開始し、赤く染めて患者に文句言われていました。(笑)
3人で延々と話した話題は噛み合わせとインプラントでした。彼の 主たる論文は咬合と歯周病の関係だったので、非常にためになる話になりました。たまたまですが、今回の学会のシンポジウムは「インプ ラント治療と歯周病」でした。個人的には「なんでいまさら?」でし
たが、学会単位 で言えば、まだまだそういう状態なんですね。うち は表向きは「歯周病専門医」なんで、歯周病のヒドイ方が多くお見え です。ヒドイ歯周病では多くの歯が失われています。保険治療の範囲 で治療を終わらせれば、世に言う「部分入れ歯」になります。しか し、その失われた歯の代わりに入れ歯を入れてもほとんど意味がありません。なぜならその入れ歯 のバネなどの固定装置が、残り少ない歯を動かし、抜歯装置として作用するからです。「じゃあ、ど うする?」と言えば、私はあたりまえのようにインプラントを入れてきました。 今回歯周病学会に参加して、学会としてはまだ「インプラントが当然!」とは言い切れないのか な?と感じました。逆の立場である「日本口腔インプラント学会」では「歯周病患者は禁忌」なん です。これはある意味で仕方のないことです。学会は大学の講座がバックにあります。歯周病学会は 歯周病学講座、あるいは歯科保存学講座、日本インプラント学会は、大学は今はインプラント講座 に衣替えしている大学もありますが、昔は口腔外科講座、歯科補綴学講座が母体で、歯周病治療と は無縁です。その昔、大学病院でインプラントを入れた方は歯周病の話はほとんど聞いてないん じゃ無いでしょうか?当然ですけど、歯周病学講座とは関係無い人達ですからね。元助教授はイン プラント学会の指導医もやっていたことがありますので、インプラント学会にも顔を出していまし た。「学会発表で5年経過症例とか出すんだけど、5年後には隣の歯も インプラントになってるような症例 を平 気で出すんだぜ!」って笑っ ていました。インプラントした部分 は5年保ったけど、隣の歯はダメ だったわけです。(笑)
たしかに、新患さんでインプラン トがとんでもないことになっている 人が来ます。右の写真の方は、もと もと歯周病が原因で歯が抜けて、抜 けたところにインプラントを入れたそうです。しかし、治療終了後、歯周病の治療も定期検診も全く受けていなかったそうです。定期検 診を受けなかった本人が悪いのか、定期検診をさせなかった歯医者が悪いのか?まあ、どっちも どっちでしょう。患者さんは可哀相ですけど「歯周病治療の専門家じゃない歯医者がインプラント 治療をするとこういうことになりますよ」という見本のような患者さんです。ヘビーな患者さんに慣 れている私も久しぶりにレントゲンを眺め、毎日ため息をついていました。結局、右下のインプラン ト2本と小臼歯1本、下の前歯2本、左下のインプラント1本を抜きました。「抜く」と言っても骨は ありませんから、引っ張れば取れてきます。歯ぐきの部分だけで付いているんです。それを切開し て、掻爬して取り出しました。身体にとってどれだけ負担になっていたか想像できません。インプラ ントを入れてから11年だそうです。すでに4~5年前にはグラグラだったでしょうから、6年は使えたわけね・・・。
6年で元取ったのか、疑問です。 このような患者さんを見ると、うちの「自費治療は定期検診に来るならば5年保証」があまりにも 優遇しすぎなんじゃないかと思ってしまいます。テレビに出たりして超有名な80歳になる先生は 「患者には『一生保ちます!』って言うよ。だって、俺の方が先に死ぬに決まってる!」(笑)