手作り石けん

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まぼろしのひとこと

まぼろしのひとこと その5

2005.3.30

手作り石けん
 今回は石けんの話です。 洗面所に置いてある固形の白い、手を洗う石鹸です。お中元と言えば「石けん詰め合わせ」が定番でした。 石けんは保存性が良く、安く、さほど好みがなく、誰でも使うので重宝です。8個ぐらい入っていて500〜1000円程度の贈答品でした。 近頃ではあまり見かけません。それらはほとんど「お風呂用」です。一方で、この世の中には100gで3000円以上する「化粧石けん」と呼ばれる石けんがあります。 化粧品の値段をとやかく言うつもりはありませんが、「化粧用」と名前が付けば何でも高く売れると考えているのかな?(まるで「歯科用」と同じじゃないの。)生協の「フキン用ソープ」は100g100円程度です。 この30倍の価格差をどういう風に理解したらよいのでしょう?はたして中身を入れ替えてみて違いのわかる人が何人いるのでしょう。

 すでに、御存知の方もおいででしょうが、近頃、石けんを自作しています。自分で言うのもなんですが、なかなかGOODです。 今、「手作り石けん」は一部でブームになっています。私が石けんを作るようになった理由は、2004年の2月ごろ、友人に自作の石けんをもらったのです。 その石けんが非常に良くて、すぐに作り始めました。もともと皮膚の性質は良く「きれいなお肌」だったのですが、年齢を重ねるごとに皮膚が弱くなりました。 冬場には太股の一部がかぶれたようになりました。市販のオリーブ石けんを使ったり、クリームを塗ったりしていました。皮膚科に行ってもステロイドしか出してくれません。(笑) しかし、友人にもらった石けんを使うと何もつけないでもしっとりして、クリームを塗る必要がなく、ほんとに何もしないで痒みも消えてしまいました。 一般に男性よりも女性の方が、若い人より高齢者の方が皮膚が弱いとされています。女性で年齢が高くなるほど高価な石けんを使う根拠はこの辺にあるのでしょう。 しかし、あくまでも「一般に」であり、女性よりも弱い肌を持つ男性や弱い肌の若年者もいます。

 ところで、「皮膚」はどういう構造になっているのでしょう。人間の肌は表皮で覆われています。 角質(角化層)とその下の細胞層が表皮です。健康な皮膚は適度な湿り気と油分を維持してバランスを保っています。冬場の乾燥はバランスを崩してしまいます。 ミクロの世界の話ですが、動物の細胞は一番外に細胞膜があります。その細胞膜は脂肪酸が2層重なった構造になっています。 ここに出てくる「脂肪酸」とは「オレイン酸」とか「ステアリン酸」とか呼ばれる「油脂」の一部分のことです。 「石けん」は「油脂」に3NaOHを反応させ(この反応を「けん化」という)3個の「オレイン酸Na」とグリセリンに変化した状態です。 ですから、細胞膜の脂肪酸のバランスに近い「油脂」から作った石けんが皮膚に優しい石けんです。きちんと汚れを浮かしながら、脂肪酸を取り去り過ぎず、適度に補給し、さらには皮膚を保護する効果のあるものが良い石けんです。 優れた石けんに向いた油脂は西洋ではオリーブオイル、日本にはゴマ油、ツバキ油があります。

 世界的に有名な石けんは「マルセイユ石けん」です。地中海地方は昔よりオリーブの栽培が盛んです。 マルセイユ石けんが有名なのは1688年にルイ14世がヨーロッパでのセッケン製造の独占権をマルセイユに与え、以来厳しい品質管理が続けられてきたからだそうです。 製品には「オリーブオイル72%、水28%とする」という意味の刻印「72%」が押されています。現在では油のうち72%がオリーブオイルという意味になっています。 19世紀のオリーブの不作時期にオリーブ以外で石けんの材料になる油を油を探し出しました。泡立ちの良さ、硬水に対する泡立ちの役割をココナッツオイル、泡を維持する力とセッケンの型くずれ防止にパーム油を加えるようになりました。 私の作る石けんの材料はどのオイルも食用です。我が家では台所に置いて調理に使っています。オリーブオイルは「自家製のツナ」に使い、パームオイルはカレーのタマネギ炒め用に利用しています。

 手作りの石けんならではの優れている点は、
1・油脂をけん化する過程で出てきた天然のグリセリンを残すこと。
(市販品のセッケンはそのグリセリンを取り出して別商品として販売してしまいます。)グリセリンは保湿効果の高い有効成分です。
2・水酸化ナトリウム(NaOH)を加えてけん化させるのですが、けん化率を85〜90%程度に抑えています。
つまり、10〜15%は油脂が未反応で残っている状態です。

(普通のセッケンは100%鹸化して過剰なアルカリ分を調整材を使い中和しています。)
3・自分の好きな香りを付けることができます。「石けんの香り」という言葉が使われることがありますが、もともと「石けん」に「良い香り」は付いていません。 材料の中で一番高価なのが「香り」です。天然香料のバラの香りなどは3ccで4000円です。「無香料」はなんだか良さそうに聞こえますが、実は安いのです。

 ハムよりも遙かに作り方が簡単で、保存性が良く、材料費が安く、喜ばれるものは他にありません。今のところ、新しく患者さんを御紹介頂いた方へのプレゼントにしています。 調子に乗っていろいろな方に差し上げていたら、「売れ!」という声が多くなり、受付の横に石けんを並べて販売することにしました。 今回は手作り石鹸の世界で「最高に贅沢な石鹸」と呼ばれている石鹸を販売しています。実はこれが飛ぶようになくなります。
しかし、実際にお金を払った方は特に石鹸の話をしたわけではない男性一人だけで、それ以外は言葉巧みにゲットしていきます。きっとみなさん、新患さんを紹介してくれると思うけど・・・・。(笑)

 我が家の風呂場にはだいたい4種類の石けんが並んでいます。洗顔、仕上げ洗髪用、身体用2種類、かかと用。どれも洗顔石けんレベルですが、やはりランクが付きます。 この冬は自分の身体で人体実験をしました。風呂から出たらタオルで拭くだけで、いっさいクリーム類を使わないことにしました。実験方法は最後に一番上等な石けんで全身を洗うのです。 結果は2回だけクリームを使いました。しっとり感が不足していて少し痒く感じたからです。最後に使うべき石けんを間違えたようです。いろいろな石けんを作っていて、色で判断できなかったのが理由です。

 私が台所の洗い物をしないから、手が荒れないとお思いの方がいるでしょうが、私は台所にいつも居る人間です。 調理はもちろん、食器の洗い物もします。手袋はしません。お湯も使います。でも、市販の液体の合成洗剤は絶対に使いません。 食器洗い用に生協の「フキン用ソープ」を使っていましたが、今では天ぷらの廃油から自作しています。調理の為に加熱し油が多少酸化しているはずですが、洗い物用に非常に良い石けんができます。 少々臭いはありますが、手荒れすることはありません。嘘だと思ったら、病院においでの際に私の手を触ってみてください。
石けんに関してはもっと面白い話があるのですが、今回は書ききれないのでまたの機会に書きます。
手作り石けんに興味のある方は「お風呂の愉しみ」前田京子著をお読みください。

かとう歯科 院長 加藤昭浩

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