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虫歯とは?

虫歯 よくわかっているようで今ひとつピンとこない虫歯。 皆さんの歯磨きの目的は「虫歯」予防ですか? 「虫歯」とはいったい何でしょう。 虫歯のことがわからないと予防も治療もできません。 「虫歯」の考え方は時代で変化しています。歯医者も混乱する「虫歯」について。


1.虫歯の定義。歯質の話。
虫歯  虫歯とは 「細菌(ミュータンス菌とか)」と「炭水化物(砂糖とか)」から「酸(乳酸とか)」ができて、「歯」が壊される病気です。今までは病気の結果 できる「穴」を「虫歯」と考えていました。しかし、「穴」ができる前の状態も「虫歯」で、ごく初期の「虫歯」は進行するばかりではなく、「元に戻る」こともある病気であるというふうに、考えがかわってきました。この考え方の変化は近年になってからです。 虫歯はごく初期には不安定でエナメル質の結晶の一部が歪んだ状態でいます。完全な「虫歯」を作るまでにはいくらかの猶予期間があります。近年、不完全なエナメル質が再石灰化するメカニズムがわかってきて、以前にも増して歯磨き、フッ素の適応、定期検診と同時に行うPMTCによる口腔衛生の重要性がいわれるのです。ごく初期の虫歯は回復する可能性があるのです。

歯質の話
歯質  よく「歯の質が悪くて」と言う方がいますが、歯の「質」とはどういうことでしょう。歯は一番外側にエナメル質という体の中でいちばん硬い組織をもっています。「虫歯」はエナメル質を壊すことで進行します。 ですから、「質」とはエナメル質の硬さ(耐酸性)のことです。エナメル質はアパタイトという結晶構造を持っています。軟らかい(?)エナメル質は溶けやすく、「質」が悪いことになります。 フッ素を結晶構造に取り込むと強くなります。

虫歯   アパタイト結晶構造にはもともと不安定な部分があります。アパタイトは水酸基、カルシウム、リン酸基からできています。この水酸基は虫歯菌の酸で容易に抜け出してしまいます。口腔内が中性に戻れば水酸基は戻ります。食事、間食のたびにこの反応起きやすい状態が繰り返されます。プラークが常に張り付いて酸性状態が長く続けばエナメル質に穴が開き「虫歯」の完成となります。  アパタイトの材料の中の水酸基がフッ素に変わったフルオロアパタイトは結晶としての不安定さがなくなり、酸に対しても強い抵抗性があります。 フッ素塗布、フッ素洗口、フッ素入り歯磨きなどは歯質の改善に効果があります。



2.虫歯の良くできる場所(歯磨きのポイント)
虫歯の良くできる場所 虫歯には良くできる場所(好発部位 )があります。虫歯が「よくできる」というのはプラークが「取れにくい」場所です。取れにくい場所は定期検診のときにPMTCで取りますので、ぜひおいでください。
1.歯の噛む面の「みぞ」
2.歯と歯の接するところ
3.歯ぐきに近い部分
4.歯並びが悪いところ


1. 噛む面 の溝はかなり頑張って磨いても汚れが取れない場所です。噛む面の溝には歯を削らずに溝だけをプラスチックで塞ぐシーラントという方法を早めにするとよいでしょう。6歳臼歯にとても有効です。治療可能ならば乳臼歯にも有効です。

歯質2. 歯と歯の間の虫歯は目で見ることができません。食べ物が詰まるようになって、初めてその存在に気付くのが普通 です。歯と歯の間を磨くにはデンタルフロスが必要です。糸がほつれてくる場合は「虫歯」があります。

歯質3. 歯ぐきに近い部分は普通の歯ブラシを使ってていねいに歯磨きすれば大丈夫です。磨き方が正しくなくない場合プラークは常に残ります。毎日3回歯磨きをしても取れているとは限りません。

歯質4. 歯並びが悪い部分は、どんな方法を使ってもプラークを取ることは非常に困難です。歯質の強化、砂糖摂取の制限などで全体のレベルアップをしましょう。できるならば矯正治療をお奨めします。


3.プラーク(バイオフィルム)と砂糖について
  プラークは正確にはデンタルプラーク(歯垢)と言います。 歯の表面 に付く白色の軟らかい物をいいます。プラークを「食べかす」と思っている方が多いのですが、 その70%がお口の中で増殖した細菌です。 細菌の種類は非常に多く、動くもの動かないもの、長いもの丸いもの、酸素の好きなもの嫌いなもの、毒素を持つもの持たないもの、などなどいろいろです。 その数は1m・当たり1億匹以上といわれています。虫歯に限らず歯周病もこのプラークが原因です。 原因と言われながらあまりその存在を認識されていないのは、プラークが付いただけでは痛くも痒くもなく、色が白い為にその存在がわかりにくいからです。

  プラークは歯の表面に糊のようなもので付着して増殖していきます。 虫歯菌の代表であるミュータンス菌は砂糖からこの糊を作ります。 ですからこの糊を砂糖から作らせなければ虫歯を予防できることになります。 砂糖以外の甘み成分(キシリトールとか)の応用はこのミュータンス菌の作る糊を産生させないことでプラークの形成(バイオフィルム化)をじゃますることが目的です。 人間にとって砂糖はなかなか縁の切れない大事なものなのです。 しかし、砂糖ではなくてもいい場合の甘み、たとえばガム、飴、飲み物の甘みなどは代用甘味料にして、砂糖しかダメな場合に使うようにしたらよいと思います。 砂糖の摂取方法に工夫をして、プラークの影響を最小限にするのが現実的だと思います。

 形成されてしまった成熟したプラーク(バイオフィルム)は比較的安定した環境をその中に作り出し、エナメル質のカルシウムを徐々に溶かしていきます。 このバイオフィルムを定期的に壊す作業を定期検診の中に取り入れることにより、虫歯だけでなく歯周病も管理可能です。この作業はPMTCと呼ばれ、月に1度来院でかなり高い予防効果 が現れます。フッ素塗布も同時に行います。

4.酸とpH
虫歯から逃れるには口腔内をできるだけ酸性にかたよらせないことが大切です。
食事や間食を取らなければ虫歯にはならないかもしれませんが、残念ながら生きることもできません。 それではどうしたらよいのでしょう。
食事、間食の取り方を考えてプラークの出す酸が歯に作用する時間を短くすることで虫歯の被害を少しでも減らすように工夫しましょう。下の二つの場合を参考にしてください。

酸とpH 一日三食に加えて、間食としてではなくデザートとして摂取するとこの状態になると予想できます。食事後に酸性になるのはしかたないですが、ある程度時間が経つと緑の回復期になります。睡眠中は口腔内を中和する能力を持つ唾液の分泌が少なくなり、虫歯、歯周病ともに危険な時間帯です。夜寝る前のきちんとしたプラークコントロールで睡眠中は安全なレベルで維持しましょう。


酸とpH 食事、間食を頻繁にとった場合です。そして、寝る前のプラークコントロールをせずに寝た場合です。赤い部分の多いことはそれだけ酸性環境に長い時間さらされることになり、これが長期間にわたれば、不可逆的な「虫歯」になってしまうことになります。意外と「間食」と認識されないと思いますが、砂糖を含んだ飲み物も同じ効果 があります。缶コーヒーやコーラなどのチビチビ飲みは想像以上の影響があります。アメやガムも同じです。味に不満があるかもしれませんが、代用甘味料の利用を考えてください。





虫歯予防の話

虫歯予防の考え方は「虫歯」というものの理解が深まるにつれて変化してきました。近頃はPMTCという方法が注目されています。しかし、基本は変わらないと思います。正しく理解して実行してみてください。


虫歯予防の理論
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