ニュースレターVol.99 2023/4月発行
みなさん、お元気ですか?ここ最近、うちの姉がたびたびやってきています。
3月には1週間ほど滞在、4月にも2回。4月の2回は歯の治療。
3月の1週間で疲れが溜まり、今までおとなしくしていた根尖病巣が腫れました(笑)。
「1週間の疲れで抵抗力が落ちて発病」。非常にわかりやすい発病でした。
根の治療をして、2週間後にセラミックで被せました。
今回はいろいろとこれからの日本の抱える問題を深く考えさせられました。
今までは家族、親族内の「相続」とセットで考えられてきた「老人介護問題」。
これを分けて考えるといろいろと難しい問題が山積です。
特に単身者が老人になり一人暮らしで、さらに身体の自由が利かなくなってしまうと急に問題が大きくなります。
今は「強盗」も普通に起きる時代。老人問題に登場する「成年後見人」って、知ってます?
制度として名前を知ってはいましたが、これを相続と分割してビジネスとすると、
急に「闇」の部分が現れるようです。さらに、老人になると病気も増え、手助けがないと通院もできない。
追い討ちをかけるように「痴呆」が問題をさらに大きくします。
みなさんもプラズマパルサーで血の巡りを良くして、がんやボケに対抗しましょう。(笑)
ひとこと:今さらですが「虫歯」と「根の治療」の話。
実は、今まで書いたことのない話題かもしれない、虫歯の話。
虫歯の原因は、砂糖とミュータンス菌だと思っている人、まあ正解です。
そういう風に世の中では言ってますからね。
ミュータンス菌が有名になったのは「ムチン」というネバネバした物質を砂糖から作り出すから。
子供が3歳になる まで砂糖を食べさせなければ、この虫歯菌は、口腔内に定着できません。
だから、その人は一生虫歯になりません(料理で使う砂糖はOKです)。
しかし、現実には難しい。
みなさんが歯医者に来るのは虫歯が見えた時か、痛みがある時。
健診で指摘された人もいるでしょう。
ご存じのように、歯にはエナメル質と象牙質があって、その奥に「神経」があります。
ちょっと深い虫歯の場合、昔は「痛くなると困るから神経取りますね」と言われたと思います。
今もそういう風に言う先生も多いかもしれない。
これ、主語が抜けていますよね。
「痛くなると(あなたが)困るから神経取りますね。」と思うでしょうが、別の解釈もできます。
「(あとで虫歯が)痛くなると(保険請求上、私が)困るから神経取りますね。」(笑)
どういう意味かというと、保険治療の場合、やり直しは全て歯医者の診断ミス。
つまり、国は「歯医者の診断ミスにはお金は払いません」と言うこと。
その結果、歯医者は「念のため、神経取りますね」と言わざるを得ない。
「神経」を生かしておいて都合が悪くなるのは歯医者だけ。
できるだけ生かしておいた方が、患者さんには望ましい。
神経が生きたままの歯は、その人間が死ぬまで「永久歯」 として使える可能性が高いです。
でも「保険請求上の安全を求めて」過剰な治療をしてしまう。
「じゃあ、保険じゃないならどうなの?」というのが、今回の話。
悩み深い話です。
宝探しをしていて、ついに宝物を「見つけた!」瞬間は感動するでしょうね。
それと全く逆の状況が、虫歯を取っていって、神経が出てきてしまった瞬間の歯医者の気持ち。
「あー、やっちまった!」。
でも、「宝探し」みたいに、丁寧に虫歯を取る歯医者は、非常に善良な歯医者だと思います。
「(あとで)痛くなると(保険請求上、私が)困るから(早めに)神経取りますね」。
それでも神経の治療をキレイにやれば、まだ「マシな歯医者」。
ここから先もいい加減にやるのは・・・。
しかし、全て保険治療でやろうとすればスピード勝負。
1日に何人治療するか?
1時間に何本神経を取るかで自分の給料が決まるなら、即決、即抜髄。
ホントにそういう時代がありました。
今も「保険治療だけ」の歯医者はそれが現実でしょう。
だって、積算方式なんだし。
保険治療に予後は関係ない。
イヤな話ですね。
でも、現実だからね。
人口が多い時代の医療ですね。
じゃあ、今後は?
私からの提案です。
深い虫歯を治療する前に「もしも神経が見えた時にどうするか?」を決めておく方が良いと思います。
少し昔、3Mix法という治療法が流行りました。
深い虫歯に3種類の抗生物質を混ぜた薬を塗って、一定期間放置して、
もう一度開けてみると神経が死なずに残るかも?という治療法。
虫歯菌は抗生物質で死ぬから、時間を置けば神経が元気になるはず。・・・。
けっこう流行って、患者さんに「3Mixやってますか?」と聞かれたこともあります。
今、日本歯科保存学会のHPを見ると「否定的」なコメントが載っています。
私は専門じゃないので、わかりません。
3Mixに変わって、今は新しい(10年ぐらいですが)方法がオススメです。
MTAセメントといいます。学会はこれを推しています。「エビ デンス」があるらしい(笑)。
さっきの「宝物(神経)を発見」した時に、薬で洗浄して、これを塗ると「治る」率が高いんです。
(でも、上に作るクラウンは自費になります)
このMTAセメントは建築用セメントと同じ素材。
非常に純度が高いそうな。
昔は死ぬほど高かった(1g1万円)けど、安くなりました。
これの使 い道は虫歯だけじゃなく、他にもたくさんあります。
根の治療を失敗して穴を開けた場合の補修とか、根の治療に使うと予後が良いです。
ラバーダム、歯科用顕微鏡、NiTiファイルを使って、このセメントも使うと、
根の治療(根管治療)は自費になります。
「なんだ、値上げか!」と思う人もいるかもしれませんけど、自分の身体に傷が付いて、
意味のない保険治療を増やす(放射線被曝も)って、イヤじゃありませんか
もっと遡って話をすると、なぜそんな深い虫歯になるのか?
そんな深い虫歯は痛くないのか?非常に疑問に思いませんか?
私も歯科用顕微鏡を使うまで非常に疑問でした。
顕微鏡を使って治療してみると意外なモノが見えます。
咬合面のエナメル質のヒビです。
そして、そのヒビの先に深い虫歯があるんです。
噛み合わせの悪い人は歯と歯の間に虫歯があります。
しかし、虫歯があるのは 片面だけという場面によく出くわします。
虫歯と接していても反対側には虫歯はない。
あれ?
大学では「隣接面の虫歯は両方にできる。
「なぜなら不潔域だから。」と教わりましたが、これ、ウソ?
「虫歯の原因は細菌である。」の原理主義。
虫歯の作る酸は1ミリのエナメルを一気に溶かすほど強くない。
でも、人間の噛む力はエナメルを壊すほどに強い。
虫歯菌と異常な咬合力がタッグを組めば最強最悪の武器になる。
つまり、噛み合わせが悪いほど深い虫歯を作りやすい。
(右手のドリルは人間の咬合力)
歯並びが悪い人は確実に噛み合わせが悪い。
上顎が狭い人は間違いなく噛み合わせが悪い。
子供の頃に上顎を開くことはアトピーや中耳炎や喘息など、
一生の無駄な医療費を減らすだけじゃなく、
死ぬまで使える本当の永久歯を生み出す可能性が高いんです。
最初に子供の上顎を開いておけば、
自費の虫歯治療も根の治療もインプラントも必要ない(と、思う)。
一生自分の永久歯を死ぬまで使える可能性が非常に高くなる。
その最初の一歩が上顎の拡大。
今年から小学生になるお子さん、お孫さんをお持ちの方々、是非考えてみてください。
最低限の投資(インプラント1本ぐらい)で、
死ぬまで最大限の健康生活を得ることができます。
ひとこと:虫歯、根の治療の自費化の話
高校の先輩に
「根の治療をすると毎回1万円取られるんだけど、なぜ?」と聞かれました。
八重洲の歯医者に行くと保険の自己負担以外に毎回1万円取られる?らしい。
都市伝説のような話ですけど、実話です。
都内の国立大学でも虫歯にプラスチックを積める治療は2万円だそうです。
教授が「これは2万円!」と決めたらしい(笑)。教授が「自費治療にする!」と宣言したの?
保険レベルの治療はやらないと決めたんでしょう。
近頃は路線バス内の放送で「根の治療の専門家」が宣伝しています。
ネットで調べると根管治療専門医のHPがあります。
日本には国が決めた専門医が4つあります。
「歯周病専門医」「矯正専門医」「小児歯科専門医」「口腔外科専門医」です。
インプラン トの専門医もありますが、これは「学会の専門医」。
治療内容でいえば、インプラント、矯正歯科は最初から自費。
歯周病、小児歯科、口腔外科は保険治療もあります。
うちは「歯周病専門医」だけど、ずーっと保険治療でした。
もしかして、これが間違いの元。
治療が終わって「定期検診は自費です」と言うと驚く人がいる。
歯周治療はかなり特別で保険に馴染まないから「最初から全部自費」でやっている人の方が多い。
鹿児島の田舎から出てきて「保険が普通」の地域の感覚そのまま千葉で30年以上やったきたからね(笑)。
いずれ考えます。
根の治療の話。とりあえず、上のグラフをみてください。
青い棒が世界の大臼歯の抜髄治療価格。アメリカは14万円(詰めるまでならその倍ぐらい)。
日本だけ短いのはなぜ??国が歯医者を馬鹿にしている証明です。
私の世代はお国の方針に素直に従ってきました。
しかし、今、ニューヨークでラーメン1杯が3000円だと知っている世代は、
国際的な標準価格が妥当と思っています。
だから、大臼歯の抜髄治療を世界の半額ぐらい(14万円ぐらい)チャージします。
しかし、内容も世界標準。ラバーダム、歯科用顕微鏡、NiTiファイル(使い捨て)、MTAセメント。
悲しいかな、うちはラバーダム(時々)、歯科用顕微鏡、
NiTiファイル(滅菌して再利用)を保険治療でやってしまっている。
これ、やりすぎでしょ。どう思います?
サービスしすぎのような気がするのは私だけ?(笑)
実はもう一つ、問題があるんです。
うちはレントゲンのデジタル化で被ばく線量を減らすことを進めてきました。
でも、今回、根の治療に関して保険請求するなら「確認のためにCTを撮りなさい」と言うのです。
CT撮影を請求しないと安い値段しかもらえない。
CT撮影料に「お金」をぶら下げたんですよ。
つまり、保険できっちりやるとレントゲンをかなり大量に浴びる。
うちの患者さんはこの意味がわかるでしょう?
虫歯にならないこと、神経を取らないことが余計な放射線による癌を防ぐのか?